
「髪の毛が傷んでパサパサ…」

「カラーして傷んだ髪をどうにかしたい!」
髪の毛は日々のカラーやパーマ、アイロンなどによって傷んでしまうもの。
傷んだ髪の毛には正しいケアが大切ですが、『正しいケア』の方法が分からない方も多いのではないでしょうか。
この記事では現役美容師の私が、
- 美髪のための基本知識
- 自宅でできる正しいヘアケア方法
について、詳しく説明していきます。
美髪になるために知っておきたい基本知識
美髪を目指していくためには、髪の毛の基本知識をある程度知っておく必要があります。
特に、髪の毛の性質を少しでも知っておくことで、普段の生活スタイルからも髪の毛を傷ませづらくすることが出来るでしょう。
ここでは、髪の毛の基本知識や美髪の定義を4項目に分け、説明していきます。
そもそも美髪とは?
美髪とは、『ツヤがあり、滑らかな手触りと質感を維持している髪』のことです。
本来、『美髪』という言葉の持つ意味は、
び‐はつ【美髪】
の解説美しい頭髪。美しく結い上げた髪。また、頭髪をきれいに手入れすること。「―師」
引用:goo国語辞書
でした。
現代では意味合いが若干変化し、『綺麗な髪の毛』といったイメージの言葉となっています。
では、『ツヤがあり、滑らかな手触りと質感を維持している髪』にするためにはどうしたら良いのでしょうか。
ポイントは3つあります。
- ツヤ
- ハリ
- コシ
ここでは、これら3つのポイントについて説明していきます。
ツヤ
髪の毛にツヤがあるかは、『髪の毛に含まれる水分量』で決まります。
理想的な髪の毛の水分量は、12~14%です。
髪の毛が傷むと表面のキューティクルが剥がれ、水分が漏れやすい状態になることで乾燥し、パサパサした髪の毛になってしまいます。
カラーやパーマ、アイロンなどによって傷んでしまった髪の毛の水分量は、6~8%程度です。
そのため、髪の毛自体に水分を多く含ませ、キューティクルが剥がれないように保護してあげることで、ツヤのある髪の毛にすることが出来ます。
ハリ
髪の毛にハリがあるかは、『引っ張られた時の髪の毛自体の強度』によって決まります。
本来、髪の毛は1本で約150gもの負荷に耐えることができるほど、非常に頑丈です。
強度は、『キューティクルの層の厚み』によって変わります。
傷みや加齢によって髪の毛が細くなってしまうのは、キューティクルが薄くなってしまうことが原因です。
キューティクルが薄くなればなるほどハリが出なくなってしまうため、傷みや加齢による頭皮環境の乱れを起こさないようにすることが重要です。
コシ
髪の毛にコシがあるかは、『髪の弾力』によって決まります。
ゴムのように伸び縮みをする性質を『弾力性』と呼びますが、髪の毛も実は弾力性の高い物質のひとつです。
試しに、指に髪の毛を巻き付け、離してみてください。
弾力性の高い髪の毛であれば、くるくると指から離れて元の状態に戻ります。
弾力性が高いほど、髪の毛は健全でコシがあることになります。
一度傷んだ髪の毛は元に戻らない
髪の毛に関する基本原則とも言えますが、カラーやパーマ、アイロンなどで一度でも傷んでしまった髪の毛は、二度と元に戻ることはありません。
髪の毛は『既に死滅している細胞』なため、肌等とは違い、自己修復能力を持ちません。
そのため、毛先にいくほど歴代の傷みが積み重なっている状態になります。
勘違いしやすいのが『トリートメント』です。
定期的にトリートメントをしている方であれば、ある程度傷みが治まっているようにも見えます。
しかし、トリートメントはあくまでも『補修』することが目的です。
トリートメントはもともと、『ケアする・手当する』といった意味なため、『治す』ことではありません。
『あくまでも補修』といった意味合いを理解し、できる限りダメージを与えないように髪の毛を労わってあげることが、非常に大切です。
⇒リンスやトリートメントの違いは何?髪のプロが正しい選び方を解説
髪の毛が一番傷むタイミング
髪の毛が一番傷みやすいタイミングは、『濡れている時』です。
髪の毛が濡れている状態の時は、キューティクルが開いています。
キューティクルは常時、鱗状に髪の毛の芯となる『メデュラ(毛髄質)』を覆っていますが、キューティクルが濡れると、普段は閉じている鱗が開く性質をもちます。
キューティクルが開いていると内部の水分が漏れ出やすくなってしまい、少しの摩擦などでも傷みの原因に。
シャンプー後などに自然乾燥で髪の毛を乾かしている方は、注意が必要です。
基本としては『8割までドライヤーで乾かし2割を自然乾燥』といったイメージで行い、長時間濡れている状態を作らないようにしましょう。
髪の毛が伸びるスピード
髪の毛は、一か月で約1~1.5㎝伸びます。
伸びるスピードには個人差がありますが、誰でも必ず、生きている限り新しい髪の毛は生えてきます。
そのため、毛先は既に傷んでしまっている状態であっても、長い時間をかければ根元から新たな髪の毛が生まれ変わり、誰でも美髪になれます。
大切なのは『新たに生える髪の毛を正しくケアする』ことです。
自宅でできる正しいヘアケア方法9選
美髪になるための正しいケア方法としては、
- シャンプー
- トリートメント
- アウトバス
- ドライヤー
- アイロン・コテ
- UV・乾燥対策
- 食生活
- 睡眠
- 頭皮ケア
などが挙げられます。
これらすべてを行う必要はありませんが、ご自身の髪質や傷みの状態に合わせて、適したケアをしていきましょう。
ここでは、それぞれのケア方法や注意点について、詳しく説明していきます。
シャンプーはヘアケアの基本
シャンプーはヘアケアをするなかで最も大切な工程です。
特に傷みが酷い状態であれば、髪の毛や頭皮に刺激の少ない優しいタイプのシャンプー剤を使う必要があります。
様々な選び方のあるシャンプー剤ですが、なかでも大切なのは『界面活性剤』と呼ばれる洗浄成分の見極め方です。
名称 | 表記される成分名の例 | 特徴 |
高級アルコール系 |
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アミノ酸系 |
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PPT系 |
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オレフィン系 |
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石けん系 |
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ベタイン系 |
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シャンプー剤に使用される各界面活性剤の特徴をまとめた表がこちらです。
市販されているシャンプー剤の多くは、『高級アルコール系』と呼ばれる界面活性剤を使用しています。
これは洗浄力が高すぎてしまうため、髪の毛や頭皮に本来は必要な油分を取り過ぎてしまう特徴があります。
油分は本来バリア機能であるため、ある程度は髪の毛や頭皮に残して洗い上げることが重要です。
美髪のためのヘアケアをしていくのであれば、
- アミノ酸系
- PPT系
- ベタイン系
などの界面活性剤を使用したシャンプー剤がおすすめです。
これらは市販のシャンプー剤と比べると高額になりますが、髪の毛や頭皮に適度に油分を残して洗い上げてくれるため、しっとりとマイルドな仕上がりになります。
トリートメントは使い方が重要
トリートメントもシャンプーと同じく、髪質に合ったものを選ぶ必要がありますが、実はより大切なのは『使い方』です。
トリートメントは正しい使い方をしていないと、本来の効果を発揮しづらくなります。
正しくトリートメントを使う手順は、
- シャンプー後にしっかりと水気をとる
- 適量を手に取り、頭皮につかないように中間~毛先にかけて塗布する
- 粗めのくしでコーミングする
- 優しく揉みこむ
- 5分程度放置してからしっかりと流す
と、なります。
正しくトリートメントを使うと毛先が引っ掛かりづらくなるので、即効性を感じられるでしょう。
⇒リンスやトリートメントの違いは何?髪のプロが正しい選び方を解説
アウトバスで髪の毛を保護
トリートメントオイルやトリートメントミルクなどのアウトバスアイテムは、乾かす前に使うことでドライヤーの熱から髪の毛を守ってくれる優秀なヘアケアアイテムです。
- トリートメントオイル
- トリートメントミルク
- トリートメントミスト
などの種類があり、使用方法や効果が異なります。
商品によって香りも異なるため、好みやご自身の髪の毛に適したものを使うようにしましょう。
⇒ヘアオイルの正しい使い方とタイミングは?朝・夜・目的別の方法をプロが解説
⇒【美容師おすすめ】アウトバストリートメントの種類と使い方!人気の厳選アイテムも紹介
ドライヤーは根元からかける
ドライヤーは正しく使うと、髪の毛を傷ませずツヤツヤにすることができます。
ポイントは『根元から乾かす』こと。
髪の毛は毛先よりも根元の方が密集しているため、ドライヤーの風が伝わりづらくなっています。
特に、目で見えづらい後頭部や襟足付近は、なかなか根元が乾かずに毛先ばかり乾いてしまうもの。
後頭部や襟足付近の根元からドライヤーをかけ、徐々に中間~毛先にかけてブラシを入れながら乾かしてあげるようにすると、オーバードライ(乾かしすぎ)にならずにツヤツヤな髪にすることができます。
⇒【2022年】美容師おすすめドライヤーランキング!ヘアケア向け~コスパ最強まで解説
アイロン・コテは温度に注意
アイロンやコテも、正しく使うと髪の毛をサラサラ、ツヤツヤにできるヘアケアアイテムです。
使い方が簡単なため、クセ伸ばしなどにも使える機器が多く販売されている特徴があります。
アイロンやコテを正しく使うためのポイントは、『温度』です。
高温であるほど強い髪質やクセでも伸ばしてサラサラにできますが、あまりにも高温な状態で使用してしまうと、熱によって髪の毛が傷んでしまいます。
これは『タンパク変性』と呼ばれ、髪の毛の内部に含まれるタンパク質が高温によって焦げてしまう症状です。
特に、200℃以上にもなるヘアアイロンやコテを使う場合には注意が必要です。
高温で使用するよりも時間はかかりますが、130~140℃程度に温度を設定して使用した方が、髪の毛を傷めづらくなるでしょう。
⇒【2022年版】ストレートにするヘアアイロンの選び方と人気のおすすめランキング!慣れない初心者でも傷めず簡単に
UV・乾燥対策はしっかりと
髪の毛は紫外線や乾燥による外的ダメージを受けやすいものです。
3月以降は紫外線量が急激に増え、髪の毛も日焼けをします。
髪の毛や頭皮にも使えるスプレータイプの日焼け止めアイテムを使用し、紫外線によるダメージから保護してあげましょう。
⇒日焼け止めは去年の物でも使える?効果の使用期限や注意点を解説します!
⇒日焼け止めの効果や時間はどのくらい?日焼け止めの種類と選び方をタイプ別に紹介!
また、10月以降には急激に湿度が下がり、乾燥によって髪の毛はパサパサした状態になります。
保湿に特化したトリートメントオイルやミルクなどを使用し、乾燥から髪の毛を守ってあげるようにしましょう。
このように、季節に合わせたケアをしてあげることも、美髪のために必要な正しいヘアケアとなります。
バランスの良い食生活で髪の毛にも栄養を
上記したような髪の毛自体に対するケアはもちろん大切ですが、食べることで『身体のなかからケアする』といった考え方も非常に大切です。
髪の毛は食べたものが栄養となって新たに生えてくるものなので、バランスの良い食生活を送ることが重要です。
特に、髪の毛のために意識的に摂取した方が良い栄養素としては、
- タンパク質
- 亜鉛
が挙げられます。
髪の毛の主成分はタンパク質なため、良質なタンパク質を摂取することで丈夫な髪の毛が生えてくるようになります。
また、亜鉛は『髪の毛を生やすスイッチ』とも言える栄養素です。
タンパク質や亜鉛が豊富に含まれた代表的な食べ物としては、
- フィレ肉
- 納豆
- 青魚
などが挙げられます。
これらの食べ物をバランス良く摂取することで、健康的な髪の毛が生えてきやすくなります。
良質な睡眠で寝ている間もケア
良質な睡眠をとることも、美髪ケアをしていく上で非常に大切です。
睡眠時に分泌される『成長ホルモン』は、髪の毛や肌に潤いを与えてくれます。
特に、夜の10時~深夜2時までは『ゴールデンタイム』と呼ばれ、この時間帯に寝ておくようにすると、健康的な髪の毛になりやすいでしょう。
また、朝はできるだけ決まった時間に起き、すぐに朝日を浴びるようにすると、体内時計がリセットされて規則正しい生活リズムを送れるようになります。
頭皮ケアして環境の良い土壌を
頭皮は『髪の毛の土壌』とも言える重要な箇所です。
頭皮環境が乱れていると、生えてくる髪の毛にも悪影響を及ぼしやすくなります。
頭皮環境が乱れることで起こる症状としては、
- 血行不良
- 乾燥
- かさつき
- 湿疹
- かさぶた
- かゆみ
- フケ
などが挙げられます。
これらの症状が起きている頭皮は、健康的な髪の毛が生えてきづらい状態です。
育毛剤や頭皮用の美容液などを使用したり、育毛シャンプーを使用したりして頭皮環境を整えるが重要です。
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美容室でのケアも大切
ホームケアは毎日気軽にご自宅で行えるメリットがある反面、美容室でのケアに比べると効果が弱いデメリットもあります。
上記したホームケアと併用し、定期的に美容室でのケアも行うことで、より効果的な美髪ケアとなります。
美容室で施術できるケアには、
- トリートメント
- ヘッドスパ
- 育毛スパ
などが挙げられます。
美容室によってできる施術とできない施術があるため、来店する予定の美容室に問い合わせ、担当する美容師と相談の上施術内容を決めると良いでしょう。
まとめ
この記事では、
- 美髪になるための基本知識
- 自宅できる正しいヘアケア方法
について解説しました。
髪の毛は手間がかかるものですが、優しく丁寧に手間をかけてケアしてあげればあげる程、効果は出てきます。
正しくケアして、美しい髪の毛を手に入れましょう!
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